猫の内視鏡検査
元々軟便、嘔吐が多く、年数回は病院のお世話になっていたシャーロック。しばらく調子がよかったのですが、目やにがひどくて抗生剤を処方されたのをきっかけに消化器症状がひどくなり、1日1回嘔吐と軟便が数週間続きました。また診察に行ったところ、内視鏡検査とバイオプシー(生体組織採取検査)を勧められました。全身麻酔が必要ということでかなり悩んだのですが、結局検査は実施しました。以下、長文になりますが、受けた説明と意思決定について記録をします。
対症療法の効果が薄く長期間軟便・嘔吐が続く場合に考えられる原因
シャーロックは通常の血液検査(血球計算、生化学検査)で特に顕著な異常がなく、また腹部の触診でも異常はありませんでした。その場合に考えられる原因として以下の3つが挙げられました。
1. 慢性胃炎、腸炎などの炎症
人間の胃炎、腸炎と同じでひどくなれば潰瘍ができたりもするそうです。原因はいろいろですがストレスでもなるそうで、うちの場合は昨年から同居を始めた姉のマイちゃんが原因の可能性は大いにありました。
2. 慢性膵炎
急性膵炎はかなり激しい症状になりますが、慢性膵炎は下痢と嘔吐ぐらいであまり特徴的な症状がなく気づかない場合も多いのだそうです。血液検査で「猫膵特異的リパーゼ」という酵素を調べる必要があります。
3. 高分化型消化器型リンパ腫
リンパ腫といえば「血液のがん」といわれており、ものによっては全身に転移して治療が難しいのですが、このリンパ腫は消化器にのみ局在し、抗がん剤とステロイドで早期発見・治療すれば寛解に持ち込むことができるものです。
3つの可能性から内視鏡検査を提案され、以下の説明を受けました。
- リンパ腫だった場合は抗がん剤治療により多くの場合は寛解できて予後は良い
- 腹部触診の結果腫瘍状のものはないのでリンパ腫だとしたらびまん性であり、病理検査をしないと確定できない
- 腎臓、肝臓、膵臓、甲状腺に問題がある場合は全身麻酔で事故が起きる可能性があるので内視鏡検査は中止し、そちらの治療に切り替える
慢性膵炎だった場合は将来糖尿病を併発する可能性があり注意しておきたいこと(元から血糖値が少し高いと言われることが多く心配だった)、リンパ腫だった場合治療により寛解が可能なこと、シニアになり今後全身麻酔が必要な検査のリスクは高くなることを考え、このまま対症療法を続けるよりは一度診断をしてもらう方が良いと考えました。
検査・治療方針
1.術前検査による慢性膵炎の確認
内視鏡検査には全身麻酔をするため、術前検査で通常の血液検査+膵炎+甲状腺の検査を実施。そこで膵炎が出たら内視鏡は中止して膵炎の治療に移行します。
2. 目視・病理検査によるリンパ腫の確認
膵炎が出なければリンパ腫を疑うということで内視鏡検査を実施します。リンパ腫だった場合は抗がん剤+ステロイドでの治療に移行します。現在、皮膚症状のコントロールにアトピカ(免疫抑制剤)を処方されていますが、ステロイドと併用はできないためリンパ腫治療の間はアトピカは休むことになります。
膵炎もリンパ腫も出ない場合は胃炎、腸炎の想定で対症療法によるコントロールを続けます。
迷いと結論
そのまま術前検査のための採血を行い、胃薬と吐き止めを処方されました。3日後に検査結果が出て膵炎ではないことが確定し、内視鏡検査を予約しました。
ところが、ちょうどその頃から薬の効果が出たのか、嘔吐もおさまり便の調子も良くなりました。そうなると、全身麻酔のリスクが怖くなってきて、最終的に当日まで悩むことになりました。
結局検査をすることにした理由は「どうせ全身麻酔なら歯も見てもらえば」という猫カフェママのアドバイスでした。
シャーロックは保護した当時から歯肉炎がひどく、まだ1歳なのに歯茎が真っ赤に腫れて薬を処方されていました。5歳ぐらいの時に歯石がびっしりついた臼歯が抜けたこともありで、もう少し歳をとったら一度は歯科処置のために全身麻酔は必要かなあ、とぼんやり考えていました。だとすると、まもなく10歳になるシニアがこの先全身麻酔のリスクは増えることはあっても減ることはないのだから、元気なうちに麻酔で処置してもらう方が良いかも、と思い直したのです。
当日は院長に歯を診ていただき(鎮静なしでも口の中を見せてくれる良い子です)門歯と犬歯は大丈夫だけど臼歯の周りは歯石が既に大量についているので処置してもいいと思う、と診断されました。内視鏡検査とあわせて抜歯だと麻酔の時間が伸びてリスクも費用も上がるので、抜くのではなく歯と歯石を削る方法を提案され、最終的にそれでお願いしました。
費用
まだ内視鏡検査が終わったところまでで病理検査の費用は確定していませんが、歯の処置を除く内視鏡検査関連の費用はだいたいこんな感じです(税別)。これに、病理検査の費用が足されますが「おそらく50,000円以内には収まるんじゃないかな・・・」と言われています。
術前検査 | 約30,000円 |
内視鏡検査(上部消化管・下部消化管) | 約60,000円 |
ガス麻酔(体重20kg以下、2時間以内) | 約20,000円 |
鎮静料 | 約10,000円 |
その他(点滴、薬など) | 約6,000円 |
術前検査+麻酔+内視鏡検査で約12万円、病理検査もあわせると税込み20万には届かなかったけど…という感じです。
17時半過ぎにしっかり目覚めていますと病院から連絡をいただき19時に帰宅。飲水許可は22時からでしたが口をつけないので薄めたスープを出して飲み方を確認しました。問題なく飲めていたので流動食1パウチ与えて、ケージから出し、夜間は置き餌を片付けて水のみ飲めるようにしておきました。翌朝6:30から通常の食事をしています。食欲もあります。
内視鏡で見えた範囲では食道が荒れている(嘔吐を繰り返しているので想定内)他は胃、腸、大腸に異常はないということで、現在は病理検査の結果待ちです。
“猫の内視鏡検査” への1件の返信