猫の食道の扁平上皮がん 症例(論文紹介)

以前も書いた通りシャーロックの食道の扁平上皮がんはかかりつけ病院の院長が40年以上臨床やってて一度も見たことがないというぐらい珍しいもので、この後の経過は予想はつくがどのくらいの時間で進行するのかなど全くわからない、と言われました。

ネットで海外の論文など探してみましたが確かにほとんどなくて、”esophagus squamous cell carcinoma feline ” とかでぐぐってもほとんどヒットしません。その中で、食道原発の扁平上皮がん症例の論文がありました。このまま進行するとどうなるか、ということだと思います。

Esophageal Squamous Cell Carcinoma in Cats

11歳と10歳の去勢済み雄猫の食道癌の症例
(腫瘍の写真などありますので閲覧注意)

Case1

  • 2ヶ月前から体重減少、10日前から食欲不振と泡状の物質吐き出し。診察時固形物、ペースト全て吐き出し、脱水、筋萎縮、発熱。
  • 血液検査結果は軽度の貧血の他は正常。
  • X線写真の所見は肺に炎症(誤嚥性肺炎もしくは感染)の兆候、胸部食道に影。造影検査で食道拡張、気管変移、食道経路の不整、の兆候を認める。
  • 内視鏡検査の結果は食道内腔全体をとりまく不規則な腫瘤。内視鏡が腫瘍の奥まで通らない。
  • 予後不良のため安楽死を選択

Case2

  • 食欲不振と吐き出しのため受診。診察時には呼吸困難、頻呼吸、腹式呼吸、肺音異常が認められる。
  • 血液検査で好中球増加が認められる。
  • 胸部エコーの結果は胸膜炎または膿胸、胸水貯留の疑い。細胞診により扁平上皮がんと診断
  • 臨床症状発現後3ヶ月で死亡
  • 剖検の結果、原発巣(食道)は扁平上皮から粘膜下層(筋層、リンパ管含む)に浸潤。肺転移、肝転移が見られた

リンパ腫を疑っての内視鏡検査と病理検査で偶然早期発見できましたが、それがなければ食道狭窄まで気づかずに過ごしてこのCaseの猫さんたちのようになっていたのだと思います。Case1の内視鏡写真を見ると、シャーロックの腫瘍がそのまま大きくなるとこうなったのかなぁ……という感じでした。

こうなる前だったのでパラディアが試せて、効いたのかも……って希望も持ててます。本当に本当に、院長の直感と「歯の治療もしてもらえばいいよ」と背中を押してくれた実家ママに感謝しかありません。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA